前にも触れましたが、アメリカでは9月最初のレイバー・デーが過ぎると、暦の上では秋となり、四季にきちんとした変化が見られる地方では、10月頃から紅葉が始まって、早いところでは月末から雪が降ったりするところもあります。
こんな時期によく聞かれる言葉がこの「インディアン・サマー」です。朝夕は厳しく冷え込むのに、日中になるとぐんと気温が上がって夏を思わすかのような陽気になる、そんなお天気のことを指します。
「インディアン」という言葉が示す通り、もともとはネイティブ・インディアンの人々が、この時期に、冬に備えて収穫物を貯蔵する作業を行なう習慣を持っていたから、という説があり、ネイティブ・インディアンの伝説では、「神様が冬眠前にキセルでタバコを吸い、その煙が暖かな一日を生み出す」と言われているのだそうです。よって当初は、東部のニューイングランド地方でひんぱんに使われていた言葉だそうですが、最近ではアメリカ全部で使われるようになっています。
このインディアン・サマーは、日本で言う「小春日和」に同等し、また中欧・北欧では「老婦人の夏」(ドイツ語ではAltweibersommer)などと呼ばれているのだそうです。
アメリカでは雪深い地域では、冬の時期が6ヶ月くらい続くところもありますから、こうした「インディアン・サマー」のお天気は、その長い冬の前にほっとさせてくれる一時でもあるわけです。